mRNAワクチンの作り方
こんにちは
昨日は夏日でしたが、今日は朝から雨で肌寒いですね。
今回は、mRNAワクチンの作り方を調べてみましょう。
日本語でググってもでてこないので、
Thermo Fisher Scientificから
Key steps in the mRNA manufacturing processです。
分子生物学を学んだ人にとっては、よく使用していた手法ですが、
そうでないとちょっと難しいかも。
Step 1. 標的遺伝子設計とプラスミド作製
標的配列を選択、最適化、合成し、DNAプラスミドに挿入して、mRNA治療薬やワクチンの製造に使用されるmRNA合成の鋳型として使用することになります。
標的配列は治療の目標とする配列で、スパイク蛋白の配列などですね。
プラスミドは、効きなれない単語かもしれませんが、
wikipediaによると
プラスミドは、染色体DNAから物理的に分離している、独立して複製することができる細胞内の小さな染色体外DNA分子である。一般的には、小さな環状の二本鎖DNA分子として、細菌や古細菌の細胞質内で広く見られる。
もともとのDNA以外に存在する(できる)小さなDNAで、
薬剤耐性遺伝子がのっていると、
耐性菌を持っている患者さんを触ってから、別の患者さんを触ると
耐性菌を介してプラスミドが伝播したりするので厄介です。
ただ、大腸菌に入れてしまえば、
大量に標的DNAを得るには便利です。
STEP 2. プラスミド精製・直線化
DNAプラスミドは、培養された細菌を使用して十分な量が生産されます。得られたプラスミド生成物は精製され、制限酵素で処理されてmRNA合成用のプラスミドDNAテンプレート(鋳型)が直線化されます。
いっぱい大腸菌が増えたら、プラスミドDNAだけを取り出し精製します。
制限酵素というのは、DNAの特定の配列の場所で切断するハサミのようなものです。
STEP 3. mRNAの合成
線状化されたDNAテンプレート、ヌクレオチド、および酵素を使用して、mRNAを合成します。得られたmRNAは、必要に応じて、タンパク質翻訳の促進、安定性の向上、免疫原性の低下などの修飾を行うことができます。
線状化したプラスミドDNAに、RNAの材料や、酵素を使用してmRNAをつくります。
mRNAは壊れやすく、mRNAワクチンでは壊れにくくなる操作(修飾)をしています。
Step 4.mRNAの精製
最終的なmRNA生成物は、クロマトグラフィーやろ過技術等を使用して単離・精製されます。精製後、mRNAは純度および望ましくない免疫刺激性RNA副産物の存在について検査されます。
mRNAだけ取り出したいので、分離精製します。
Step 5.mRNAの解析
精製されたmRNAは、配列の確認やmRNAの修飾を評価するために、分子レベルで評価が行われます。mRNAワクチンや治療用製剤の脂質ナノ粒子(LNP)成分も、脂質の組成と純度について分析されます。両成分の正確な分子組成を理解することは、最終的な医薬品が厳格な品質および規制基準に適合することを保証するために重要です。
mRNAが、予定された全長より短いと、STOPコドン(タンパク質をここまで来たら作るの止める命令がある部位)がないmRNAも含まれる可能性もあります。ノンストップmRNA(というそうです)は通常の体内でもおこりうることですが、除去機構があるそうです。通常のmRNAは壊れにくい修飾はされてませんけど。
STEP6.処方、充填、仕上げ
mRNA治療薬やワクチンは、mRNAとLNPなど輸送システムを複合化することで製剤化されます。製剤化されたmRNA含有製剤は、最終的なワクチンや治療薬に加工され、滅菌、無菌的に充填され、包装されます。充填されたパッケージは最終テストを受け、超低温フリーザーに装填され、保管・配送されます。
mRNAだけだと細胞に入らないので脂質ナノ粒子(LNP)という、非常に小さな脂質を中心とした物質でできている粒子に入れて製剤化しています。
実際に流通しているmRNAワクチンが上記工程そのままかはわかりませんが、
クオリティを保つのはかなり大変だと思います。
実験室レベルなら、チェック可能でしょうけれども、
何億本も大量生産するにあたっては、(過去に異物混入などもありましたが、)
製剤に断片化したmRNAや、プラスミドが混入する可能性ってないんでしょうかね?
ただの妄想なので、聞き流してくださいね。